平成24年2月22日 19:30-21:00 長崎県保険医協会主催で、フコク生命ビル8階会議室にて「認知症と口腔ヘルスケア」のタイトルで当院診療部・横田朋久医師が講演しました。



 

今回の講演では、「口腔機能」=「食べるだけの機能」というという概念を払拭し、口腔機能を維持することは審美性への満足感や食の楽しみ、感情の表現、コミュニケーションといった精神的な要素や、咀嚼することによる摂食嚥下機能の維持、口唇や舌、咀嚼筋、顎関節の機能維持など機能的な要素があることを中心として、認知症の方にとって人間らしい生活を送る上で口腔機能が如何に重要であるかということをお話しさせていただきました。
 
また、摂食嚥下障害について健常人の嚥下運動をもとに考察し、嚥下食だけでの対応は廃用の道をたどりやすいことをお話しました。
加えて、当診療室で行った調査結果から、認知症の方では舌の挙上障害が有意に多くみられ、それは欠損を放置したままなど咬合(噛み合わせ)が不良である場合に連動した傾向があること、また舌の挙上障害がある場合には口唇の力も有意に低下していること、食事レベルが低下するにつれて口唇の力も有意に低下していることなどがわかり、摂食嚥下機能の改善には㈰口唇や舌のリハビリ、㈪義歯などで補って噛みあわせを再構築することによる咀嚼機能の改善、がセットで必要であることが示唆されたことなどを発表いたしました。
発表後は、認知症の患者様の歯科への紹介方法、病棟等における口腔ケアの合理的な方法、義歯の使用方法、認知症の方の義歯製作のポイント、舌の挙上などについての質問があり、知識を共有する上で非常に有意義な講習会となりました。
 
医療法人清潮会 三和中央病院診療部歯科
歯学博士 横田朋久