精神科の薬物療法
薬物療法とは 当院で実施した治験


薬物療法とは...

精神科で行われる治療のひとつに薬物療法があります。高血圧の方が血圧を下げるために降圧剤を服用するように、精神疾患においても様々なお薬を飲むことによって症状を緩和することができます。
 

精神科で処方されるお薬には、大きく分けて以下のような種類があります。


抗精神病薬

主として精神病症状(幻覚、妄想など)に対してこれを抑えることを目的に使用されるお薬です。現在精神科で処方されている抗精神病薬の殆どは第2世代のお薬(非定型抗精神病薬)です。第2世代の抗精神病薬は、以前のお薬と比べて副作用が少ない特徴があります。当院で処方されている抗精神薬病薬の代表的なものには以下のようなものがあります。

  1. オランザピン(ジプレキサ)

  2. リスペリドン(リスパダール)

  3. クエチアピン(セロクエル)

  4. アリピプラゾール(エビリファイ)

  5. クロザピン(クロザリル)

  6. ブロナンセリン(ロナセン)

  7. パリペリドン(インヴェガ)

  8. ペロスピロン(ルーラン)

  9. アセナピン(シクレスト)

 10. ブレクスピプラゾール(レキサルティ)

 11. クエチアピン徐放(ビプレッソ)

主に統合失調症の症状に対して処方されています。

当院では、平成24年4月から治療抵抗性統合失調症の薬であるクロザリル処方が認可されています。

治療抵抗性とは...?

これまでにいくつかのくすりをきちんと飲んでいたにもかかわらず、統合失調症の症状がよくならないことがあります。?このような状態を治療抵抗性といいます。


抗うつ薬

その名の通り、主として抑うつ症状(抑うつ気分、やる気のなさ)に対してこれを改善させる目的で処方されます。また、不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会恐怖などにも効果が示されています。当院で処方されている主な抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)などがあります。

 1. SSRI

  フルボキサミン(ルボックス)

  パロキセチン(パキシル)

  ジェイゾロフト(セルトラリン)

  エスシタロプラム(レクサプロ)

 2. SNRI

  デュロキセチン(サインバルタ)

  ミルナシプラン(トレドミン)

  ベンラファキシン(イフェクサーSR)

 3. NaSSA

  ミルタザピン(リフレックス)


気分調整薬

気分調整薬とは、双極性障害(躁うつ病)などの気分の波を安定させていく作用をもったお薬です。代表的な気分調節薬は以下のようなものがあります。

 1. 炭酸リチウム(リーマス)

 2. バルプロ酸(デパケン)

 3. カルバマゼピン(テグレトール)

 4. ラモトリジン(ラミクタール)


抗認知症薬

主にアルツハイマー型認知症に処方されているお薬です。認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害など)の進行を遅らせる働きがあります。

 1. ドネペジル(アリセプト)

 2. ガランタミン(レニミール)

 3. メマンチン(メマリー)

 4. リバスチグミン(リバスタッチ)


注意欠陥多動性障害治療薬

注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、小児期より「不注意」、「多動性」、「衝動性」の特徴をもつ発達障害のひとつです。これらの症状のために学校や家庭のなかで日常生活に支障を起こしてしまいます。そして、大人になっても症状が持続していることがあります。当院では認知行動療法と併用して以下のお薬を処方しています。

 1. メチルフェニデート(コンサータ)

 2. アトモキセチン(ストラテラ)

 3. グアンファシン(インチュニブ)


アルコール依存症治療薬

脳内に作用して強い飲酒渇望を抑える作用があります。心理社会的治療(集団精神療法、自助グループへの参加など)と併用しながら服用することで、断酒の成功率が高まります。当院ではアルコール依存症プログラムを受けながら以下のお薬を飲んでもらいます。

 1. アカンプロサート(レグテクト)

 2. ナルメフェン(セリンクロ)